厚労省の大規模治験ネット懇談会が初会合|新薬・パイプライン

厚生労働省大臣官房技術総括審議官の私的懇談会である 「大規模治験ネットワーク懇談会」 (座長・黒川清東海大総合医学研究所長) の初会合が 6月10日に開かれた。

ナショナルセンターや大学病院など複数の医療機関からなる大規模治験ネットワークを構築し、医師主導あるいは、医療上必要性が高いものを対象とする企業主導の治験を、効率的に実施するための体制整備を検討する。

抗がん剤や小児用医薬品など、欧米では標準的に用いられているが、日本では不採算等の理由から企業単独で開発されない医薬品を、医療の場へ提供することが目的。来年度から三年かけて体制整備を図る計画で、懇談会は年末まで月一回程度開催し、必要な施策を来年度予算に盛り込む考えである。

国内治験の空洞化で治験の遅延が指摘される中、厚労省はネットを構築して承認に必要な症例数を確保できる体制を整備する方針。

治験の対象は、

  • がん
  • 循環器 (高血圧、不整脈等)
  • 循環器 (心筋梗塞、脳卒中等)
  • 精神・神経
  • 感染症・呼吸器
  • 代謝・内分泌・消化器
  • 免疫・アレルギー・皮膚
  • 老年病 (痴呆・失禁) ・腎泌尿器・感覚器
  • 骨・関節
  • 小児の疾患を挙げている。

学会や関係医療機関の協力を得て、疾患ごとに大規模治験ネットワークの事務局を設置し、ネットワークに参加する医療機関の募集、選定を行う計画。事務局は、参加医療機関や学会等の有識者からなる運営委員会を設置し、医療現場のニーズなどを踏まえて候補医薬品等の選定を行い、関係企業へ要請を行う仕組みである。

米国のような治験体制が出来ていないために、このままでは欧米に臨床試験を持って行かれるのを防ぐ意味においても また、優秀な医薬品を早く上市するために必要な取り組みである。日本は米国に比較して治験の時間と費用が掛かり過ぎだと言われている。ちなみに 時間は、9倍から 18倍掛かっている、欧州と比較しても 3倍と言われている。また、国内企業においても 43.2% (70成分、2000年) も海外のみでの治験であるのが実情である。