薬事法一部改定案、今国会に上程される|新薬・パイプライン

今国会に薬事法一部改定案が上程された。参議院で一部修正後承認され現在衆議院で上程されているが、承認時期が微妙な段階である。当初の見通しは秋の国会までに承認される予定であった。政省令が整備された後、生物由来製品の安全性確保に関しては、平成15年度から、それ以外に関しては 平成17年までに段階的に施行される予定である。

薬事法の改定の背景には、一つは、21世紀がライフサイエンスの時代でバイオ、ゲノムといった創薬の開発が期待される。二つ目には、企業活動をグローバル化し、国際化に対応できるように制度を確立する。具体的には、安全性の確保、生物由来製品への対応や製造承認制度の見直しである。今回の薬事法改定は、見直しに向けて三本の柱がある。

  • 医療機器に係る安全対策の抜本的見直し
  • 「バイオ、ゲノムの世紀」 に対応した安全確保の充実
  • 市販ご安全対策の充実と、承認・許可制度の見直し

「1」の医療機器に関しては、「医療用具」 から 「医療機器」 に名称を変更し、医療機器に関するクラスを次の3つに分類した。
1-1. メス、ピペット等の人体へのリスクが極めて低い 「極低リスク医療機器」
1-2. MRI、電子式血圧計等の人体のリスクが比較的低い「 低リスク医療機器」
1-3. 透析器、ペースメーカ等の人体へのリスクが比較的高い 「高リスク医療機器」
「低リスク医療機器」 は厚生労働大臣の承認制度から第三者認証期間による基準適合性認証になる。「高リスク医療機器」 の販売・賃貸は現行の届け制から都道府県知事の許可を必要とする。

「2」の生物由来製品の安全確保対策には、二つに分類している。
2-1. 製造から市販後に至る各段階において一般の医薬品・医療機器等における各種基準に加え、付加的な基準等を定めることにより、一層の安全確保を図ること。
2-2. 特定生物由来製品に係る安全措置―保健衛生上の危害の発生又は拡大を防止するため原材料最終段階から市販後段階まで付加的基準を設けている。

「3」の市販後安全対策の充実と、承認・許可制度の見直しについは、「製造許可・製造承認」 から 「元売許可・元売承認」 へと承認制度を見直した点である。医薬品業界が最も注目しているのはこの点である。国際整合性確保の観点を踏まえ、医薬品・医療機器等を市場に提供するに際しての厚生労働大臣の関与につき、個別承認品目ごとの製造許可制度を廃止し、実際に出荷・上市するものが行う元売行為に着目した許可体系に再構築していることである。

これは、医薬品の製造と販売を分離した事で全面的な製造委託が可能になった。元売業の許可は、厚生労働大臣の許可が必要であり、原則として5年ごとの更新制である。元売業者が上市するには品目ごとに厚生労働大臣の承認が必要である。今回の製造と販売の分離は、元売業の許可と製造の許可をそれぞれ取る事とになり、元売については、元売の担当する所在地で、製造業の許可は工場の所在地で許可を取る必要がある。