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臨床研究法の内容

臨床研究の実施に関する手続き

(1)特定臨床研究の実施に係る措置
① 次の措置を義務付け

  • モニタリング・監査の実施
  • 利益相反の管理等の実施基準の遵守
  • インフォームドコンセントの取得
  • 個人情報の保護
  • 記録の保存 等

② 実施計画による実施の適否等について、認定臨床研究審査委員会の意見を聴いたうえで厚生労働大臣に提出することを義務付け
③ ①の実施基準等の遵守及び②の認定臨床研究審査委員会への意見聴取に努めることを義務付け

(2)重篤な疾病等が発生した場合の報告
特定臨床研究に起因すると疑われる疾病等が発生した場合、認定臨床研究審査委員会に報告して意見を聴くとともに、厚生労働大臣にも報告することを義務付け

(3)実施基準違反に対する指導・監督
① 厚生労働大臣は改善命令を行い、これに従わない場合には特定臨床研究の停止を命じることができる
② 厚生労働大臣は、保健衛生上の危害の発生・拡大防止のために必要な場合には、改善命令を経ることなく特定臨床研究の停止を命じることができる

製薬企業等の講ずべき措置

① 製薬企業等に対して、当該製薬企業等の医薬品等の臨床研究に対して資金を提供する際の契約の締結を義務付け
② 製薬企業等に対して、当該製薬企業等の医薬品等の臨床研究に関する資金提供の情報等の公表を義務付け

ポイント1:研究責任医師の責任・役割と利益相反基準の明確化

製薬企業からの提案などの働きかけをきっかけに実施されることも少なくない臨床研究ですが、臨床研究の実施者である研究責任医師を主体としています。それは、この臨床研究が診療の上に成り立っており、何よりも優先されるべきは目の前の患者さんの治療であること、そして得られた貴重なデータはその先にいる患者さんの治療に活かしていくことなど研究の実施はもちろん、得られた研究データや結果にも医療行為と同様に高い倫理観と信頼が求められるためです。
なお、研究責任医師の要件として、厚労省医政局研究開発振興課長通知に以下のように定められています。

研究責任医師は、以下の要件に該当する場合、原則として研究責任医師から外れる
  • 本研究と関わりのある企業等の寄付講座に所属し、当該企業が拠出する資金から給与を得ている
  • 本研究と関わりのある企業等から、当該年度あるいは前年度に年間合計250万円以上の個人的利益を得ている
  • 本研究と関わりのある企業等の役員に就任している
  • 本研究と関わりのある企業等の株式(新株予約権を含む)を保有(公開株式は5%以上、未公開株式は1株以上、新株予約権は1個以上)している
  • 本研究と関わりのある企業等の本研究の医薬品等に関係する特許権を保有あるいは特許を出願している(特許を受ける権利を所属機関に譲渡している場合であっても、当該特許に基づき相当の対価を受ける権利を有している場合には該当する)

なお、研究責任医師の不適格要件に該当する場合、データ管理やモニタリング、統計・解析業務に従事することもできません。

ポイント2:認定臨床研究審査委員会による審査

研究責任医師は、作成が義務付けられている研究計画書を利益相反管理基準、利益相反管理計画などとともに、厚生労働省が認定する認定臨床計画審査委員会に提出する必要があります。認定臨床研究審査委員会(CRB:Certified Review Board)は、医学・医療の専門家や法律の専門家をはじめ、様々な立場の方を交えた5人以上で構成することとされており、平成30年4月30日現在、全国に52の審査委員会が認定されています。なお、審査会の認定の有効期限は、当該認定の日から起算して3年です。
*認定臨床研究審査委員会一覧(H30.4.30現在)

                                                  
北海道大学昭和大学藤田保健衛生大学大阪大学
東北大学順天堂名古屋大学岡山大学
福島県立医科大学日本大学金沢大学山口大学
日本医科大学信州大学三重大学徳島大学
北里研究所千葉大学金沢医科大学愛媛大学
自治医科大学東邦大学浜松医科大学長崎大学
量子科学技術研究開発機構慶応義塾国立病院機構(愛知)琉球大学
沖縄徳洲会国立病院機構(東京1)京都府立医科大学国立病院機構(福岡)
国立精神・神経医療研究センター国立病院機構(東京2)京都大学治験ネットワーク福岡
横浜市立大学東京医科歯科大学大阪市立大学九州大学
国立がん研究センター(東京)国立国際医療研究センター和歌山県立医科大学静岡がんセンター
国立がん研究センター(千葉)名古屋市立大学兵庫医科大学埼玉医科大学
国家公務員共済組合連合会愛知県がんセンター国立病院機構(大阪)熊本大学
  

審査委員会は、提出された研究計画書が実施基準に適合しているかチェックし、研究実施の適否などを研究責任医師にフィードバックします。それを受けて研究責任医師は指摘事項を反映させた実施計画を厚生労働大臣に提出します。なお、正当な理由なく実施計画書を提出せず、またはこれに記載すべき事項を記載せずもしくは虚偽の記載をした実施計画書を提出し特定臨床研究を実施した場合、50万円以下の罰金に処せられます。

ポイント3:法律に基づく厚生労働省からの調査権限・監視指導

これまでの厚生労働省からの倫理指針に基づいた行政指導には強制力がありませんでした。が、法律に基づく指導・改善命令が可能となり、保健衛生上の危害発生・拡大防止のために必要な場合には停止命令も可能となりました。

手続きに違反した場合の対応

ポイント4:臨床研究に対する資金提供に伴う契約の締結と公表の義務付け

臨床研究法では、利益相反の観点から製薬企業に対し資金提供に関する契約締結と情報の公表を義務付けています。

公表の対象となるもの
     
  • 研究費(特定臨床研究)
  • 寄付金(自社製品の研究責任医師が所属する機関へのもの)※
  • 原稿執筆料/講師謝金等(自社製品の研究責任医師へのもの)※

※自社製品の臨床研究終了後2年以内の資金提供も含む

上記以外の講演に伴う交通費や会場費、研究に対する労務提供や物品提供などは公表の対象外となっています。公表の方法は、インターネットのみ有効とし、それ以外の公表は認められません。また、申請しないと閲覧できない方法や印刷できないような設定も禁止されています。
なお、経過措置として平成30年10月以後に開始する事業年度分から公表の対象となっており、公開の時期は毎事業年度終了後1年以内に行い、公表後5年間公開すると定められています。

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